夢に向かってひたむきに努力を続ける選手が、ゴルフの基本をレクチャー。初心者ゴルファーはもちろん、ベテランゴルファーも基本に立ち返ることで、壁を乗り越えることができるはず!基本をマスターして迷宮を抜け出しましょう!

アイアンショットの基本

皆さん、こんにちは。加藤沙弥です。今回の誌上レッスンでは、アイアンショットの基本をレクチャーさせていただきます。方向と飛距離の正確性が求められるアイアンショット。特に初心者の場合、アイアンを自在に打つことができれば、一気にスコアがまとまるようになります。つまり効果的にスコアを縮めるようになるにはアイアンショットの向上が近道だといえるでしょう。
ですが、アイアンショットの基礎を知らなかったり、間違って理解していると、いくら練習を重ねてもレベルアップは望めません。基礎をしっかり固めて、常に正確性が高く同じ結果を出せるアイアンショットを目指しましょう!


アイアンショットのアドレス6つのポイント

かつては3〜4番のロングアイアンをキャディバッグに入れてプレーするのが当然だったようですが、今はそういった難易度の高いロングアイアンに代わって、ユーティリティクラブを使うセッティングが主流となっています。5番もしくは6番アイアン~9番アイアン、これにウエッジを加えたセッティングが一般的ではないでしょうか。今回は使用頻度がもっとも多いであろう7番アイアンを中心にレッスンを進めていきます。

1. スタンス
基本は肩幅くらいの広さ。肩幅よりも広いワイドスタンスは下半身が安定し、強くスイングしたいときに有効で、飛距離を出したいドライバーショットに適しています。反対に肩幅より狭いナロースタンスは大きなスイングには向かないものの、スイング軌道が安定しやすく、正確性を高めやすいというメリットがあり、アプローチショットに適しています。アイアンショットはある程度の飛距離と精度が同時に要求されます。ワイドスタンスとナロースタンスの中間、つまり肩幅の広さのスタンスがベストだということです。
ですが、フィットするスタンス幅はゴルファーそれぞれ微妙に違ってきます。肩幅を基本と考え、少し広げてみたり、狭くしたりして、自分の最も打ちやすいスタンス幅を探してみてください。

2.ボールポジション
7番アイアンのボールポジションは体の中心、つまりスタンスの真ん中。この7番アイアンを基準に考え、使用するクラブが6番、5番とクラブが長くなれば、それに伴ってボールを半分ずつ左方向に。逆に8番、9番と短くなればボールを半分ずつ右方向にずらしてセットしていきます。

3.前傾姿勢
前傾は体の回転軸を安定させるために必要で、理想の前傾姿勢は、背骨とゴルフクラブの延長線が交差した時に直角に近い状態になっている状態。ただ正確に直角(90度)にすると難しいと思いますので、地面と垂直になるように自然に腕を下ろして、クラブをグリップした際に、ヘッドがちょうど地面につくぐらいを目安に考えましょう。もちろん持つクラブによって前傾の角度は違ってきますが、脱力して自然に腕を下ろすことさえ気を付けておけば適度な前傾姿勢を取れるようになるはずです。グリーンまで残り90~100ヤードというシチュエーションでショートアイアンやウエッジを使用する際、ボールがトップしてしまったという経験をお持ちの方も多いと思います。これはスイング中にキープしていた前傾姿勢が浅くなってしまい、身体が伸び上がってしまったというミスが考えられます。こういったミスを防ぐためにも前傾姿勢はスイング中、常にキープするように心掛けておきましょう。





4. 重心
基本的には左右の足に均等に体重を乗せ、体の真ん中に重心をおいてください。ただ重要なのは「安定してバランスよく立とうとすること」。あまり意識して重心配分を考える必要はありません。

5.構え
ハンドファーストが基本です。グリップがクラブヘッドよりも先に出るような状態をいうのですが、アイアンショットはハンドファーストでボールをインパクトすることで、クラブヘッドがスイング軌道の最下点に達する少し手前でボールをヒットでき、適正なスピン量がかかりやすくなります。構えの段階でこのハンドファーストをつくっておけば、そのままバックスイングを始めて、同じ状態に戻すことで理想のインパクトができあがります。


6.クラブヘッドのトゥを浮かせる
構えた際は、クラブヘッドの先端側「トゥ」を少し浮かせておきます。ゴルフスイングは遠心力を利用してボールを飛ばすわけですが、飛距離を出すと同時にクラブにも影響を及ぼします。特に影響があるのがトゥで、いわゆる「トゥダウン現象」です。スイング中、トップからダウンにかけてクラブがしなって下りてくるわけですが、その際に遠心力とヘッドの重みでトゥが下がってしまいます。トゥが下向きのままインパクトを迎えるとスライスボールが出やすくなります。この「トゥダウン現象」を前もって予測し、アドレスの段階でトゥを少し浮かせておくことで「トゥダウン現象」に対処できます。



ショットの基本はダウンブロー

アイアンショットの打ち方の基本はいわゆる「ダウンブロー」と呼ばれている打ち方です。スイング軌道がダウンスイングの状態で、軌道の最下点に達する前にインパクトを迎える打ち方がダウンブローとなります。ダウンブローで打ち込むと、ボールの先にあるターフを削る形ができあがります。インパクトの後に芝を削るスイングを「ターフを取る」と言い表しますが、ターフを取る打ち方はダウンブローでないとできません。
ダウンブローで打つことにより、よりスピンのかかったボールを打つことができます。スピンのかかったボールはランが出にくいので、狙った場所に落としやすくなり、ピンをデッドに攻めていくことも可能となります。アマチュアの方のなかにはボールを上げたい意識が強く、ボールを下から上にすくい上げるように打つ「すくい打ち」をする方もおられます。すくい打ちではスピンがかからず打球は伸びを欠いて、十分に打球の角度が付かないうちに失速してしまうため逆効果です。アイアンにはロフト角がありますので、ダウンブローで打ったとしてもロフトによって、自然とボールが上がるように設計されています。すくい上げるという意識を捨てて、しっかりとダウンブローで打っていきましょう。

<POINT>スイング起動がダウンスイングの状態で、軌道の最下点に達する前にインパクトを迎える打ち方がダウンブロー。ダウンブローで打つことにより、よりスピンのかかったボールを打つことができる。


ターゲットに向けて正しくアライメントして打つことが重要

自分では目標に対して正確にアドレスしたつもりでも、グリーンを捕らえられず、左右に外してしまうケースがあると思います。自分ではナイスショットしたと思っても、同伴者から「スタンスが右を向いていたよ。」なんて言われたことはありませんか?
実際、ターゲットに対して正確にスタンスを取れている方は少なく、一部の方は左、大半の方は右方向に向けてスタンスしてしまっています。構えた体の向きをターゲットに合わせることをアライメントと言いますが、自分のスイングがどれだけ完璧であっても自分が向いている方向、すなわちアライメントが間違っていればボールはターゲット方向には飛んでいきません。ターゲットに向けて正しく構えるには、アドレスに入る前にまずボールの真後ろから目標方向を見てターゲットラインを明確にイメージしましょう。そのターゲットラインの50ヤードくらい先にあるボールを通過させたいポジションを決めます。そのポジションからターゲットラインに沿って再びボールに目を移し、ターゲットライン上の50センチ~1メートル先にある葉っぱ、窪み、石ころなどのいわゆるスパットを目印として想定します。それらを結ぶように直線をつくります。ボールを打ち出す方向の道しるべを作るというイメージです。アドレスを作るときはまずフェース面をスパットに真っすぐ向け、最初にイメージしたターゲットラインに対して肩や腰、スタンスが平行になるように構えます。スパットを設定しておくことでスクエアな構えが作りやすくなりますので、ルーティンに加えることをおすすめします。
また、足元にクラブを置いて打つことで、アライメントをしっかりとターゲットラインと平行にさせる練習になります。やり方は簡単でクラブシャフトをターゲットラインと平行になるようセットします。そのクラブに沿ってアドレスし、何球もボールを打つことで、正しいアライメントを身体に染み込ませることができます。









次回は、「ミスショットの克服/ダフリ編」をお伝えいたします。どうぞお楽しみに!