夢に向かってひたむきに努力を続ける選手が、ゴルフの基本をレクチャー。初心者ゴルファーはもちろん、ベテランゴルファーも基本に立ち返ることで、壁を乗り越えることができるはず!基本をマスターして迷宮を抜け出しましょう!


~朝一ショットのミスを克服編~

 みなさん、こんにちは。江口紗代です。今回の誌上レッスンでは、プロゴルファーでも緊張するといわれる、スタートホールでのティーショット、いわゆる『朝イチショット』のミスの防止方法について解説させていただきます。
 待ち焦がれたラウンド当日、スタートホールのティーショットを見事に決めて、気持ち良くスタートしていきたいものですよね。でも「上手く打ちたい」という気持ちが強すぎると、緊張と不安で思わぬミスショットを招いてしまいます。そんな経験、誰しもお持ちですよね。「リラックスして打つのが一番」ではあるのですが、スタートを待つ後続組が見ていたりすると、やはり緊張感で筋肉が硬くなり、1打目から『OB』という悲しい結果が待っているかもしれません(涙)。
 今回は、そんな『朝イチショット』でのミスを防ぐための最善方法を私、江口紗代がレクチャーしていきます!朝一ショットを鮮やかに決めて、ベストスコアを目指しましょう!


スタート前に筋肉をほぐして、体をリラックスさせましょう

 楽しいはずのゴルフなのにスタート前から緊張感に包まれ、体全体からどんよりした雰囲気を醸し出している方がおられますよね。そういった方に申し上げます。スタートを前に緊張しているのはあなただけではありません。ほぼ全員がスタートを前にして緊張しています。プロでさえ緊張するものです。ですから、緊張して当たり前。緊張感に包まれた中で、いかに良いショットを打つか・・・・そこが朝イチショットでミスをしないポイントだと理解しておいてください。


■両肩の緊張をほぐす方法

①両肩を上がるところまでぐっと持ち上げます。(写真右)
②次に、上げた両肩を下にストンと落としてください。この時、一気に脱力するようにします。(写真左)
これを何度か繰り返します。

■両腕の力を抜く方法
①両腕を体の前で、地面と平行になるまで持ち上げます。(写真右)


②次に力を抜いてストンと両腕を下に落とします。(写真左)

③次に両腕を体の左右に地面と平行になるまで広げ、ストンと両腕を下に落とします。
これを何度か繰り返します。

■軽くジャンプして緊張をほぐす方法
 プロトーナメントで、スタート前の選手がよくやっている方法です。何度か軽くジャンプを繰り返すことで体全体を適度にリラックスさせる効果があります。さらにジャンプして着地することで重心が下がりますので、スイングを安定させる効果も見込めます。


リズムをつくって、スムーズなスイングを

 アドレス前にいくら体を脱力させても、アドレスに入った瞬間に緊張で体が固まってしまうというケースも多いですね。そんな状態からスイングに入っても、体が硬直して「リズム」をつくれず、スムーズな動きはできません。ではどうしたら良いか。アドレス時からテイクバックに入るまで体を動かし続け、自分で「リズム」をつくるのです。
 アドレスに入るまでは、後方からターゲットを確認したり、素振りをしたりと、ご自身のルーティンがあると思うのですが、アドレスに入ってからも、体の動きを止めず、体を右に左に傾け、体重を揺れ動かします。この動きでリズムをつくり、右利きの方の場合、右に体重が乗る瞬間に一気にテイクバックの動きに入り、切り返し後、左に体重を移動させながらダウンスイングまで振り抜くというものです。あくまで極端な体重移動ではなく、体を固まらせないようにスイングにリズムをつくるための動きだと考えてください。


6割程度のヘッドスピードで打つ

 朝イチのティーショットから、誰もがうらやむビッグドライブが打てれば、それに越したことはありません。ですが、朝イチショットに高望みは禁物。例え飛距離を出せなくても、フェアウェイキープできれば御の字のシチュエーションだと考えましょう。
 朝イチのティーショットでは、ご自身の6割程度のヘッドスピードでも十分ナイスショットになる可能性があります。確かに飛距離は落ちますが、6割程度の力感のスイングだと、明らかにミート率が高まり、フェースの芯でボールを捕らえることで、極力飛距離ダウンを抑えることができるのです。さらにフェースがスクエアにボールを捕らえやすくなりますので、余計なサイドスピンが減少して、ボールが曲がりにくくもなります。飛距離はロスしますが、ターゲット方向へボールを運ぶ確率は高まるはずです。


クラブのグリップをやや短めに持つ

 朝6割程度のヘッドスピードでスイングして、ミート率を上げるという方法をご紹介しましたが、クラブのグリップをやや短めに持って、スイングするというのも効果的です。クラブは長くなればなるほど遠心力は得られますが、ボールが体から離れますので、その分、ミート率は下がります。逆にボールが体から近くなるようにグリップを短く持てば、ミート率は向上します。朝イチの緊張の中で、確実にフェースの芯でボールを捕らえたいのならば、この方法はかなり有効だといえます。短く持つのは指1~2本分でOK。その程度でもかなり短く持っているような感覚になりますし、ミート率が上がるうえ、思うほど飛距離は落ちません。ただし、短く持った分、テイクバックがしやすくなりますので、打ち急ぎやオーバースイングにならないように気を付ける必要があります。


明確なターゲットに狙いを定めて、ショットする

 アドレス前に、ボール後方から打ちたい方向を確認するというルーティンを取り入れている方は多いでしょう。ですが、その際、大まかに「フェアウェイの真ん中あたり」くらいの狙いでスイングに入っていませんか?特に狙いを定めることなく、「ただフェアウェイに打ちたい」、そう思いながらティーショットを打ってもナイスショットは望めません。
 狙ったターゲットは大きければ大きいほど、広ければ広いほどぼんやりして、ミスの度合いが高まるのです。逆に例えば、「あのバンカーの右横」「あの樹木と樹木の間」という風に、できるだけターゲットを絞ることで集中力が増し、ミスの幅も小さくなるのです。「あの辺りに打ちたい」ではなく、「あのポイントに打ちたい」と考えるようにして、特に緊張した場面では集中力を高めましょう。


 ターゲットが定まれば、次にターゲットに対してのアドレスづくりです。まずボールと狙いたいターゲットを直線(ターゲットライン)で結んでください。そして、ボールから30センチほど先の直線上にある、目印を見つけてください。例えば芝の色が変わった部分や、石ころ等なんでも結構です。これが“スパット”と呼ばれるもので、スパットを決定したら、ターゲット・スパット・ボールを結んだ直線(ターゲットライン)と、両肩・両太もも・両かかと、それぞれを結んだラインが平行になるようにアドレスしてください。

これでターゲットに向けたアドレスの完成です。クラブフェースは、ボール・スパットに対して垂直になるように構えましょう。


*****Profile*****
江口 紗代(えぐち さよ)

1997年10月21日生まれ、岡山県出身。小学生の頃にゴルフをはじめ、名門・香川西高等学校卒業。高校卒業後はプロテスト、QTに挑戦。身長153㎝と小柄ながらドライバー平均飛距離230ヤードを誇り、飛距離と得意のパッティングを武器にプロテスト挑戦中。「ライジングレディースゴルフTV」などの番組にも出演し、キュートなビジュアルもあってファン急増中。Youtubeチャンネル「34ちゃんねる」開設。