夢に向かってひたむきに努力を続ける選手が、ゴルフの基本をレクチャー。初心者ゴルファーはもちろん、ベテランゴルファーも基本に立ち返ることで、壁を乗り越えることができるはず!基本をマスターして迷宮を抜け出しましょう!



ミスショットの克服 ~シャンク編~

みなさん、こんにちは。西田茉楓です。今回の誌上レッスンでは、ラウンド中、突然出てしまい、どうにもこうにも止められず大きくスコアを崩してしまう「シャンク」について解説させていただきます。アマチュアゴルファーの天敵、シャンクの原因ってどこ?シャンクを直すにはどうすればいい?案外ご存じないのではないでしょうか。シャンクに悩んでおられる方はもちろん、シャンクに悩んでいない方も「転ばぬ先の杖」、事前にシャンクを防いで、ベストスコアを目指しましょう。もうシャンクなんて怖くない!



インパクトの瞬間にいきなりボールが右方向に飛び出してしまうシャンク

「シャンク」。アマチュアゴルファーにとって、本当にイヤなワードですね。ゴルフには常にミスショットがつきものですが、特にシャンクはできることなら避けたいミスです。レギュラーツアーで活躍するプロでさえ、ごく稀にシャンクしてしまうこともあるほどです。
シャンクとは、一言でいうとインパクトの瞬間にいきなりボールが右方向に飛び出してしまうこと。アイアン特有のミスショットで、本来クラブフェースの真ん中である芯でボールをヒットするべきものをフェース部分でなく、クラブヘッドとシャフトの結合部分である「ネック」と呼ばれるところでヒットすることで発生します。一度シャンクが出てしまうと、「シャンク病」と称されるほど、連続して出てしまうこともあるため、シャンクが出た時には注意が必要です。このミスショットについてレクチャーしていきます。








シャンクの原因となり得る代表的な2つのエラー

シャンクと一言でいっても、その原因は様々。シャンクのミスはヘッドとシャフトの付け根部分「ネック」でボールをヒットすることで起こると説明しましたが、ではなぜ、アドレスした時点ではフェースに合わせて構えているのに、いざ打つときにはネックに当たってしまうのでしょうか?実は、そこに至るまでのスイングを修正することで、シャンクを防ぐことができるのです。
ここでシャンクの原因となり得る2つの症例をご紹介します。まず原因を確認することで、シャンク病に陥った際の対処ができるはずです。

❶軌道が「アウトサイドイン」
 シャンクが出やすい典型的なスイング。それは軌道が「アウトサイドイン」になっていることです。アウトサイドインの軌道はシャンクだけにとどまらず、スライスなどの原因になる多くのゴルファーを悩ませるスイングエラーでもあります。
アウトサイドインとは、ダウンスイングでのヘッドの軌道のこと。クラブヘッドの軌道が、ボールと目標を結ぶ目標ラインの外側から入って、ボールにヒットし、その後目標ラインの内側に抜けていく軌道です。この軌道になる要因の多くが、クラブヘッドをボールに「当てよう」とする意識の強さ。特にビギナーはこのケースが多く、バックスイングからダウンスイングに切り返す時に上体がボールに突っ込むような形で動いてしまい、8の字を描くような軌道のスイングとなってしまいます。クラブヘッドの軌道がアウトサイドインになると、フェースが開いた状態のままインパクトを迎え、フェース部分より前に出たネック部分にボールが当たり、シャンクが発生します。「ボールをフェースに当てたい」という意識が強すぎると、こういったエラーにつながってしまうわけです。



❷上体がボール方向へ突っ込んでしまっている
「ボールをフェースに当てたい」という意識は、上体がボール方向へ突っ込んでしまうというエラーにもつながります。ボールを打ちにいく意識が強すぎることにより、アドレス時にキープしていた上体とボールとの距離がスイング中に縮まってしまい、ヘッドがボール位置よりも前に出て、ネック部分にボールが当たりシャンクが発生します。ショートアイアンでは影響が少なくても、より正確にボールをとらえたいと感じる7番アイアンのようなミドルクラブ以上で特にその影響を強く受けてしまいます。
また身体的な疲れから上体がボール方向へ突っ込んでしまうケースもあります。ラウンドも終盤になると疲れが出て、身体が重くなり、いつもの動きができなくなることがあります。疲れによりダウンスイング中に遠心力でクラブが外に振られ、上体が突っ込み、シャンクしてしまうわけです。


シャンクの修正


①「アウトサイドイン」軌道の修正
 アウトサイドイン軌道が原因でシャンクしてしまう場合、当然軌道を修正する必要があります。後方からご自身のスイング動画をスマートフォンなどで撮影してみてください。アウトサイドイン軌道は、正しいスイングプレーンよりも外側からクラブヘッドが下りてきて、インパクト後、内側に抜けていきます。アウトサイドイン軌道を修正するためには、正しい前傾姿勢をつくり「インサイドイン」軌道でスウィングする感覚を養うことがポイント。
そこで、このような練習をしてみてください。アドレス時に正しい前傾姿勢をつくり、両足を揃えた状態で素振りを繰り返し、慣れてきたら実際にボールを打ってみてください。両足を揃えた極端に狭いスタンスでスイングすることで、体と腕が同調し、ヘッドがスムーズに動く感覚をつかめるはずです。アウトサイドイン軌道は、どうしても外側からクラブヘッドを下ろそうと、手打ちになってしまうので、まずは“体と腕を同調させる”という意識をもちましょう。もちろん、この練習をする際、力みは禁物で、ボールをとらえる意識を持たず、リラックスした状態で繰り返しましょう。これによりインサイドインのスイング軌道の身体の動きが覚えられ、クラブヘッドがスムーズに動く感覚がつかめるようになるでしょう。



❷クローズドスタンスで構える
応急処置的な修正方法ではありますが、アウトサイドイン軌道がどうしても修正できずシャンクしてしまうという場合は、極端なクローズドスタンスに構えて打ってみることをおすすめします。クローズドスタンスで両足のラインに沿ってスイングすれば、自動的にインサイドアウト軌道になり、体の開きも抑えられるため自然と手首のローテーションが入ってフェースが返り、球をとらえる感覚がつかめます。


❸タテにボールを2個並べてショット練習
 「インサイドイン」もしくは「インサイドアウト」の感覚がつかめてくれば、次のような練習をしてみましょう。
まずボールに対して正しい状態で構えて、スイングを始めたらインパクトの時にボールの手前を通過する様に空振りをする素振りです。この素振りをすることで、シャンクをしていた時よりも身体の近くをスイングする感覚をつかむことができます。
この素振りが違和感なくできる様になったら、構えた方向から見てタテに2個のボールを、ボール1個分のスペースを空けて並べ、奥側のボールに構えてスイングを始め、手前のボールを実際に打ってみましょう。シャンクが修正できていないと、2つのボールを同時に打ってしまうかもしれません。何度も繰り返して手前のボールだけをしっかりと捉えられるように練習しましょう。




シャンクの原因を知るには動画撮影がおすすめ


 シャンクは突然やってきます。でも焦ることはありません。今回ご紹介した修正方法で、きっと克服できるはずです。
先述していますが、なぜシャンクが出てしまったのかを知るには、スマートフォンなどでご自身のスイングを後方から撮影して見返すことが有効です。シャンクは出そうと思って出ているものではないので、撮影の時はきれいなショットであることも多いかもしれません。でも、数回ショットを繰り返し、動画を撮影していくと、ボールがネックに当たらなくとも、クラブフェースのスイートスポットではなく、ネックに近い場所でヒットした場合、シャンクが出る傾向があるスイングに気づくことでしょう。日頃からスイングを動画撮影し、ご自身でスイングを分析することで、シャンクの原因を知ることができるでしょう。


シャンクの恐怖心を取り除く

シャンクはメンタルも大いに関係します。一度シャンク病を患ってしまうと、「またシャンクしてしまうかも」という恐怖心が芽生え、その恐怖心がシャンクを再び引き起こしてしまうケースもあります。シャンクしないように「ボールをフェースに当てたいという意識」が蘇ってしまうわけです。ショットすること自体にネガティブなイメージが作り上げられると、さまざまな練習をしてもあまり効果がありません。イメージが払拭されるまで、ショット練習を控えることも一つの考え方です。コースマネージメントについて考えてみたり、パターの練習期間に充てたりするなどして、ネガティブなイメージを取り除きましょう。



*****Profile*****
西田 茉楓(にしだ まひろ)

1999年11月11日生まれ。大阪府出身。小学5年生の時に初めて女子ツアーを観戦した際、出場していた有村智恵プロに憧れ、12歳から本格的にゴルフを始める。高校には、当時強豪校として知られていた大阪商業大学高校へ進学。怪我に悩まされ思うような成績を残せなかった時期もあるが、2017年の関西女子アマチュアゴルフ選手権では上位に名を連ねた。2018年高校卒業後、19歳でサードQTへ進出。アグレッシブなプレーでひとつでも多くバーディーを取ることが持ち味。